アルツハイマー治療薬
●厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会は24日、アルツハイマー型認知症の治療薬として、新たに2種類の承認を決めた。 早ければ来春にも使用できる見通し。追加されたのは、軽度~中等度の患者向けの「レミニール」(成分名ガランタミン)と、中等度以上の患者向けの「メマリー」(同メマンチン)。国内にはエーザイの「アリセプト」(同ドネペジル)しかなく、患者や医療機関から早期導入の要望が出されていた。(2010年12月24日 読売新聞)
レミニールはアリセプトと同様に神経伝達物質であるアセチルコリンの濃度を高めて作用する。メマリーは神経を障害するグルタミン酸の作用部位であるNMDA受容体の拮抗薬。作用機序は新しい。しかし1990年代にはNMDA受容体拮抗薬は広く研究されて実用化が試されてきた。2003年のNEJMに有効性を報告した原著が発表されたが、しばらく忘れていた。 これまでは認知症の治療薬はアリセプト(ドネペジル)のみであったが、選択は広がるわけである。
●当院では認知症の患者さんを診療させていただいていますが、私自身は正直言って専門医ではありません。認知症専門医という資格は世の中に存在するのですが、私は取得していません。しかし認知症の患者さんは確実に増えていて、専門の先生は絶対的に足りません。私のような非専門医でも勉強しながら、頑張らなければなりません。
●認知症の診断に関して誤解が多いような気がします。当院ではMRI検査を行うことが多いのですが、認知症は画像検査では診断できません。画像検査は必須ですが、それで診断できるわけではありません。初診においては、脳梗塞や脳腫瘍、水頭症、慢性硬膜下血腫など器質的疾患を除外するために画像検査(MRIが望ましい)が必要です。これは得意です。しかし画像検査で異常がないから認知症でないわけではありません。血液検査、神経学的検査、認知機能検査、家族からの病歴聴取などが重要です。これらを総合して暫定的に診断を行いますが、経過をみているうちに診断が変わることは珍しくありません。暫定的診断をもとに薬物治療を開始して、反応をみながら診断や治療方針を修正していくのが効率的です。
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